合格発表が待ち遠しい日々
新年が明け、中小企業診断士試験の合格発表日が迫ってきました。令和6年1月11日(木)、ついにその日がやって来ました。待ちに待った合格者リストが、中小企業診断士協会のホームページ上で発表されたのです。
令和5年度中小企業診断士第2次試験の筆記試験の結果について (j-smeca.jp)
令和5年度の第2次試験は、8601人もの受験者が申し込み、そのうち8241人が筆記試験に挑みました。口述試験資格を得たのは1557人。合格率は18.9%と、直近2年間とほぼ同じ水準となりました。
合格発表後、次は口述試験の通知を待ちます。その通知が1月13日(土)に届き、合格を確証でき安堵しました。さらに少し遅れて2月1日(木)には筆記試験の結果が送られてきました。
2次記述試験の得点
中小企業診断士の試験に取り組み始めて1年3か月、熱心に取り組み挑戦した令和5年度2次記述試験の点数こちらです。
- 事例Ⅰ:51点
- 事例Ⅱ:57点
- 事例Ⅲ:69点
- 事例Ⅳ:70点 合計247点
まずは、兎にも角にも、試験に合格したことを嬉しく思います。受験勉強に費やした時間や努力が報われた瞬間です。この合格は、私のキャリアにおける新たな一歩となりますし、今後は、この合格を活かし、診断士としての活動を展開していきたいと思います。
しかしながら、今後これから経験していくことの中で、試験だけではなく挑戦したことに対して、不合格という結果もあるかもしれません。その場合でも、落ち込むことなく振り返り、次の挑戦に向けて努力を続けたいと考えています。成功と失敗は、成長の機会であり、私の診断士としての道のりを豊かにしてくれるものです。
今回の受験結果を振り返りながら、初心を忘れず、常に向上心を持ち続けることが大切だと感じます。診断士としてのスキルや知識を磨き、社会への貢献に努めていきたいと思います。
令和5年度 2次試験 再現答案
私が受験した令和5年度の2次記述試験の結果の詳細を共有させていただきます。この再現答案結果からは、学習したことテクニック・ノウハウを80分でアウトプットしようとする受験生のリアルな状況や挑戦が伝わるかと思います。
現在またはこれから受験にチャレンジしようとする皆様の参考用として、また、自分自身がこれからさらに研鑽を続けていくための現在地として記しておきます。
令和5年度事例Ⅰ 再現答案
みなさまが事例Ⅰで題材となった蕎麦屋さんの企業イメージを描きやすいように、外観とメニュー例を掲載します。店名は伏せさせてもらいました。
・事例Ⅰの蕎麦屋
第1問(20点)各30字
統合前のA社における①強みと②弱みについて、それぞれ30字以内で述べよ。
(再現答案)
①自家製蕎麦による看板メニューと自主的に問題解決する企業風土
②最寄駅から離れた立地と仕入先の高齢化による供給先不安
第2問(20点)100字
A社の現経営者は、仙台経営者と比べてどのような戦略上の差別化を行てきたか、かつその狙いは何か。100字以内で述べよ。
(再現答案)
顧客層を地元のファミリー層に絞り込み、蕎麦に資源を集中し材料を厳選して看板メニューを開発、商品とサービスの質を高める集中差別化戦略をとった。狙いは、近隣のチェーン店などの低価格品との差別化を図るためである。
第3問(20点)100字
A社経営者は、経営統合に先立って、X社のどのような点に留意するべきか。100字以内で助言せよ。
(再現答案)
留意点は、接客やサービスを向上し看板商品を開発しチェーン店などとの価格競争から脱却し差別化を図り、食べ歩き客を取り込むこと、従業員間の横のつながりを増やし、離職率を低減すること。
第4問(40点)
A社とX社の経営統合過程のマネジメントについて、以下の設問に答えよ。
(設問1)80字
どのように組織の統合を進めていくべきか。80字以内で助言せよ。
(再現答案)
A社経営者がX車従業員に会社の方向性を伝えて目的意識を共有し、両社の従業員間で出向しA社のノウハウを伝承、能力に応じた適正な人員配置を行い、統合を進めていく。
(設問2)100字
今後、どのような事業を展開していくべきか。競争戦略や成長戦略の観点から100字以内で助言せよ。
(再現答案)
競争戦略として、X社仕入先の地元産材料を使用し新規商品開発し他店との差別化を図り、成長戦略として、X社の駅前店舗をアンテナ店として、食べ歩き客に訴求し、SNSや口コミによる新規顧客獲得で売上増加を図る。
令和5年度事例Ⅱ 再現答案
みなさまが事例Ⅱで題材となった野球用品店の企業イメージを描きやすいように、外観と店内の品ぞろえを掲載します。店名は伏せさせてもらいました。
第1問(30点)150字
B社の現状について、3C(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:自社)分析の観点から、150字以内で述べよ。
(再現答案)
顧客は、地域の各少年野球チームと個別に買い物に来る顧客、近隣の公立小中学校。競合は、野球以外のスポーツ専門店と大型スポーツ用品チェーン店。自社は、野球の各種ブランド用品を取りそろえ、加工技術を持ち、個々の体格や技術に応じた野球用品の提案力を持つが価格面では量販店に太刀打ちできない。
第2問(20点)100字
低学年から野球を始めた子供は、成長やよりよい用品への願望によって、世にフォーム、バット、クラブ、スパイクといった野球用品を何度か買い替えることになるため、金銭的負担を減らしたいという保護者のニーズが存在する。B社は、こうしたニーズにどのような販売方法で対応すべきか、プライシングの新しい流れを考慮して、100字以内で助言せよ。(ただし、割賦販売による取得は除く)。
(再現答案)
環境に考慮したリユースやリサイクルの流れを考慮し、買い替え希望者に対して中古品売買を行う。成長や良い用品への買い替え時に中古品を買い取り、加工技術でリメイクした品を安く提供し保護者のニーズに対応する。
第3問(20点)100字
女子の軟式野球チームはメンバーの獲得に苦しんでいる。B社はメンバーの増員のために協力することになった。そのためにB社がとるべきプロモーションやイベントについて、100字以内で助言せよ。
(再現答案)
近隣の公立小中学校を通して、そこに通う女子に向けて、メンバー募集や、近隣の競合社会人野球チームによる野球教室や野球観戦を案内し、野球に触れる機会を提供することで野球に関心を持つ子供を増やしていく。
第4問(30点)150字
B社社長は、長期的な売上げを高めるために、ホームページ、SNS、スマーフとフォンアプリの開発などによるオンライン・コミュニケーションを活用し関係性の強化を図ろうと考えている。誰にどのような対応をとるべきか、150字以内で助言せよ。
(再現答案)
各野球チームの監督に向けて、試合時のデータやメンバー個々の道具などの個人データを管理できるアプリを提供し、ホームページに試合の申し込みなど地域のチームが交流できるSNSを設けてニーズを吸い上げ、個々のチームやメンバーに合わせた用具を提案することで、より密な関係を構築し、関係性を強化する。
令和5年度事例Ⅲ 再現答案
第1問(10点)40字
C社の生産面の強みを2つ40字以内で述べよ。
(再現答案)
食品の多品種少量生産体制と料理人経験のある管理職を中心とした高付加価値品製造技術。
第2問(20点)100字
C社の製造部では、コロナ禍で受注量が減少した2020年以降の工場稼働の低下による出勤日数調整の影響で、恒例のパート従業員も退職し、最近の増加する受注量の対応に苦慮している。生産面でどのような対応策が必要なのか、100字以内で述べよ。
(再現答案)
対応策は、総菜の製造工程作業をマニュアル・標準化し、必要箇所には設備機械の導入も検討し、製品仕様のレシピを整理して生産指示を紙面で行い、作業効率を向上し、受注増加に対応する。
第3問(20点)120字
C社では、最近の材料価格高騰の影響が大きく、付加価値が高い製品を販売しているものの、収益性の低下が生じている。どのような対応策が必要なのか、120字以内で述べよ。
(再現答案)
対応策は、販売先料理長とのやり取りを密にして生産計画を週次化し、食品商社と生産計画を共有して資材管理課が計画と在庫状況を考慮して材料仕入れを行い、納期切れや在庫過多を低減することで、納期遵守、在庫管理を徹底し、収益性低下を防ぐ。
第4問(20点)120字
C社社長は受注量が低迷した数年前から、既存の販売先との関係を一層密にするとともに、他のホテルや旅館への販路拡大を図るため、自社企画製品の製造販売を実現したいと思っていた。また、食品スーパーX社との新規事業でも総菜の商品企画が必要となっている。創業あkら受託品の製造に特化してきたC社は、どのように製品の企画開発を進めるべきなのか、120字以内で述べよ。
(再現答案)
料理長との関係性を強化し高級ホテルや旅館の新商品開発に参画して開発のノウハウを吸収し、中途採用の外部人材を中心として製品開発部の体制強化・能力向上を図り、X社との共同開発で実績を積み上げ、自社規格製品の他販路拡大を進めていく。
第5問(30点)140字
食品スーパーX社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C社社長は現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。このC社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのように助言するか、140字以内で述べよ。
(再現答案)
生産体制構築は妥当である。理由は、X社が数店舗から10数店舗まで拡大予定で、中食需要が期待でき、従業員の退職で新規事業を行う生産能力が十分でないため。留意点は、顧客のニーズに即した商品企画を行い売り上げを確保すること、教育体制を整え、製品の品質低下を防ぐこと。
和5年度事例Ⅳ 再現答案
第1問(20点)
(設問1)
D社の2期間の財務諸表を用いて経営分析を行い、令和3年度と比較して悪化したと考えられる財務指標を2つ(①②)、改善したと考えられる財務指標を1つ(③)取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、令和4年度の財務指標の値を(b)欄に記入せいよ。解答に当たっては、(b)欄の値は小数点第3位を四捨五入して、小数点第2位まで表示すること。また、(b)欄のカッコ内に単位を明記すること。
(再現答案)
①売上高営業利益率11.59%
②有形固定資産回転率 71.90回
③負債比率 28.94%
(設問2)80字
設問1で解答した悪化したと考えられる2つの財務指標のうち1つを取り上げ、悪化した原因を80字以内で述べよ。
(再現答案)
売上高営業利益率の悪化は、健康志向等の強まりから他メーカーが新製品を投入し市場が激化し、輸送や原材料価格が上昇し利益低下したが、対策を行わなかったため。
第2問(30点)
(設問1)
D社の2期間の財務データからCVP分析を行い、D社の収益性の分析を行う。原価予測は営業利益の段階まで行い、2期間で変動費率は一定と仮定する。以上の仮定に基づいてD社の2期間の財務データを用いて、(1)変動費率および(2)固定費を求め、(3)令和4年度の損益分岐点売上高を計算せよ。また、(4)求めた損益分岐点売上高を全tネイに、令和3年度と令和4年度で曽根季分岐点比率がどれだけ変動したかを計算せよ。曽根季分岐点比率が低下した場合は、△を数値の前に付けること。解答に当たっては、変動比率は消臭店第3位を四捨五入して、小数点第2位まで表示すること。また、固定費および損益分岐点売上高は、小数点第2位まで表示した変動費率で計算し、千円未満を四捨五入して表示すること。
(再現答案)
(1)変動比率 63.31%
(2)固定費 1,141,564千円
(3)損益分岐点売上高 3,111,376千円
(4)損益分岐点比率変動 14.73%
(設問2)
D社のサプリメントの製品系列では、W製品、X製品、Y製品の3種類の製品を扱っている。各製品別の損益状況を損益計算書の形式で示すと、次のとおりである。ここで、この3製品のうち、X製品は営業利益が赤字に陥っているので、その販売を中止すべきかどうか検討している。X製品の販売を中止してもX製品に代わる有利な取り扱い製品はないが、その場合にはX製品の販売によってX製品の個別固定費の80%が回避可能であるとともに、X製品と部分的に重複した効能を有するY製品に一部の需要が移動すると予想される。(1)需要の移動がない時、X製品の販売を中止すべきか否かについて、カッコ内の「ある」から「ない」に〇を付して答えるとともに、20字以内で理由を説明せよ。さらに、(2)X製品の販売を中止した場合に、現状の営業利益合計2500万円を下回らないためには、需要の移動によるY製品の売上高の増加額は最低いくら必要か。計算過程を示して答えよ。なお、割り切れない場合は、万円未満を四捨五入すること。
(再現答案)
(1)中止すべきでない。貢献利益が正で、共通費の回収に寄与
(2)X製品を中止した場合の必要費用負担 5000+15000×0.2=8000
売上増加率をxと置くと24000×x-24000=8000これを解くとx=1.333・・・
よって売上高増加額は80000×(1.33-1)=26,677万円
(設問3)80字
D社では、売上高を基準に共通費を製品別に配賦している。この会計処理の妥当性について、あなたの考えを、80字以内で述べよ。
(再現答案)
妥当でない。理由は、売上増加により共通費が増加するなど、売上の変動により共通固定費が変動し、共通費の各製品寄与が不明瞭で、会計状態を正しく表していないため。
第3問(30点)
D社は、研究開発を行ってきた男性向けアンチエイジング製品の生産に関わる設備投資を行うか否かについて検討している。以下の資料に基づいて各設問に答えよ。解答に当たっては、計算途中では端数処理は行わず、解答の最終段階で万円未満を四捨五入すること。また、計算結果がマイナスの場合は、△を数値の前に付けること。
(設問1)
年間販売量が(1)10,000個の場合と、(2)5,000個の場合の正味現在価値を求めよ。(1)については、計算過程も示すこと。そのうえで、(3)当該設備投資の正味現在価値の期待値を計算し、投資の可否について、カッコ内の「ある」か「ない」に〇を付して答えよ。
(再現答案)
(1)2,585万円1年目のCF(10000-6200-2200)×(1-0.3)+2200-800=2520万円
2~4年目のCF(10000-6200-2200)×(1-0.3)+2200=3320万円
4年目のCF(10000-6200-2200)×(1-0.3)+2200+800=4120万円
NPV=-11000+2520×0.925+3320×(0.857+0.794+0.735)+4120×0.681=2585.13万円
(2)白紙
(3)白紙
(設問2)
(1)初年度末に2年度以降の販売量が10,000個になるか5,000個になるかが明らかになると予想される。このとき、設備投資の実行タイミングを1年遅らせる場合の当該設備投資の正味現在価値はいくらか。計算過程を示して答えよ。1年遅らせる場合、初年度の固定費は回避可能である。また、2年度期首の正味運転資本の残高はゼロであり、その後は資料における残高と同様である。なお、1年遅らせる場合、設備の耐用年数は4年になるが、その残存価値及び処分価格は変化しないものとする。
(2)上記(1)の計算結果により、当該設備投資を初年度期首に実行すべきか、2年度期首に実行すべきかについて、根拠となる数値を示しながら50字以内で説明せよ。
(再現答案)
(1)10000個の設備投資時の2~5年目CFと5000個の設備投資しない場合の2-5年目CFの期待値を計算して、賞味現在価値を試算する
(2)白紙
第4問(20点)
(設問1)50字
D社は、基礎化粧品などの企画・開発・販売に特化しており、OEM生産によって委託先に製品の生産を委託している。OEM生産の財務的利点について50字以内で述べよ。
(再現答案)
利点は、生産設備等の過大な初期投資や生産変動による固定費用回収不能が低減でき、財務リスクが小さいこと
(設問2)50字
D社が新たな製品分野として男性向けアンチエイジング製品を開発し販売することは、財務的にdのような利点があるかについて50字以内で述べよ。
(再現答案)
顧客多角化が可能で市場変動によるリスクを緩和でき、シナジーにより効率的に経営資源を有効活用ができること。
合格の喜びと挑戦の感想
2次試験が終わった直後は、自身の1年3か月の努力を認めつつも、正直、試験に対しての手ごたえのなさから、将来についても考えました。次のステップをどう進むか、診断士試験を続けるかどうか…。
しかし、ふたを開けてみると、得点的にはぎりぎりではありましたが、1次試験、2次試験ともに初挑戦で合格できたことで、新たな希望を見出すことができました。それと同時に、事例Ⅲ、事例Ⅳとあまり手ごたえのなかった事例で点を取れていて、予想外の結果に驚く部分もありました。予備校の講師からは、事例Ⅳで点数を稼ぐ典型的なストレート合格者の特徴を持っているというコメントをその後いただき、学習に取り組んだ方向性も間違いではなかったと今では理解しています。
中小企業診断士試験は、多くの挑戦者が熱意を持って取り組む試練の場です。合格を勝ち取った物語は、努力と希望の証だと思っています。今後も新たな挑戦を続け、新たな価値感を積み上げて、実りある日々を過ごしていきたいと思います。
今回の受験結果を支えてくれた家族や友人、そして受験勉強を共にした仲間に感謝を申し上げます。皆さんの支えがなければ、私の診断士への道は歩めなかったと思います。
人生の自由を求めるために始めた中小企業診断士の学習を始めました。「自由」という言葉の意味は「自分を理由にする」という意味だそうです。外部や環境を理由にして物事をとらえたほうが都合の良く生きやすい場合もありますが、それは自分の本意ではないと人生経験を進めるにしたがって思うようになりました。これからも、初心を忘れずに、情報・知識・経験・ノウハウを更新しながら、自分の軸を正しながら自由な人生を謳歌できるよう努めていきたいと思います。
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